矢口新のブログ

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From 矢口新

データを見れば、日本の社会保障制度は崩壊を避けられない。
年金の受取額では生活ができなくなり、医療費負担は増え続ける。
現状の行き着く先は、何らかの形での国民資産の没収だ。
とはいえ、そうしたデータそのものはただの数字でしかない。
それをどう読み解き、いかに活用するかが重要なのだ。

データ49:高齢者の年金依存度

日本人の65歳以上の世帯の51.1%が公的年金収入だけで生活している。

高齢者世帯1世帯平均の年金収入は公的だけだと204.5万円で、
仕送りや企業年金、個人年金などを合わせても223.2万円だ。若い人の中には、
現在の高齢者は恵まれていると考える人たちがいるようだが、平均としてはこれが実情だ。
羨むほどのものではないどころか、これ以上の減額や医療費の負担増は苦しいのではないか?

一方、菅政権は75歳以上の後期高齢者の医療費窓口負担を
1割から2割に引上げる対象を年収200万円以上にすることで合意した。
75歳以上の窓口負担はいま原則1割で、
年収383万円以上の人は3割。引上げは2022年10月から実施する。

データ13:銀行の預貸率(預金貸出比率)

1990年頃の都市銀行の預貸率は80%前後であった。
バブルの形成には住宅金融専門会社の関与がよく知られているが、
データからは、銀行はそうしたノンバンク向けの融資を含め、
バブルの形成には余り関与してこなかった可能性が示唆されるのだ。
データが示唆しているのは、むしろバブル崩壊後に業績が悪化した企業の資金繰りに応じたことで、
銀行の預貸率が100%を超え、信用リスクを取り過ぎた可能性なのだ。

というのは、預貸率がピークに近い97年には、日本債券信用銀行や北海道拓殖銀行が破綻したからだ。
翌98年には日本長期信用銀行も破綻する。
もちろん、個々の銀行には個々の破綻理由があるのだろうが、
こうしたトップランクの銀行が相次いで破綻した頃に、預貸率が100%を超えていたことは興味深い。

それが、2000年を過ぎた頃から、預貸率が急低下する。
これだけをみれば信用リスクに懲りて、市場に資金を回さなくなり、
仕方なく日銀が超低金利政策を導入したと考えるかも知れない。

ところが、政策金利の推移が示すのは、日銀は1990年からの景気減速期から利下げを続けたため、
日本がマイナス成長に至る1997年時点ではもはや利下げ余地がほとんどない0.50%以下になっていたことだ。
これを預貸率と併せて見れば、利下げ途中こそ貸出が伸びたが、
超低金利となった後はむしろ貸出が減少したことが見て取れる。

貸出から利益を上げるという営利行為は、
超低金利政策やマイナス金利政策では非常に困難となるので、
日銀の政策は「銀行の主業務である貸出から、十分な利益を上げることを否定している」ことになる。

☆より多くのデータ、詳しい解説は以下の書籍から。

・新著案内:日本が幸せになれるシステム(著者:矢口新)
65のグラフデータで学ぶ、年金・医療制度の守り方 Kindle Edition

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