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50%の確率

From矢口新

「相場での勝ち負けは50%の確率だ」と言う人がいる。

オプションの計算式に用いられているように、
サイコロで奇数か偶数かを問うのと同じような意味合いで相場が上がるのか下がるのかを問題とするならば、
5分5分の確率であると言える。

「ランダム・ウォーク理論」などもこういった考えを支持している。

私自身、自分を戒める意味で
「相場観など5分5分の確率でしか当たらない」
と言っている。

しかし、一投資家にとっての勝ち負けの確率は、
けっして50%ではないのだ。

株式や債券は商品そのものが買い手有利にできている。

買うには資金さえあればこと足りるが、
売るには商品を一時的に借りてくる「品借り」するしかなく、
借りるにはコストがかかるからだ。

しかも株式には
「アップティック(値を上げている)時にしか空売りができない」
という規制のある市場もある。

「買いからしか入れない投資家」――。

これはポートフォリオマネジャーの多くが抱えている問題点だとも言える。

彼らには預かったお金を運用するという使命があるため、
まずは物を買うという行為から始める。

ネットでの売り越しを意味するキャッシュポジションが100%以上という状況は、
運用資産を抱えての投資という性質を勘案すれば、あり得ない。

すなわち投資家は上げ相場には強いのだが、
下げ相場ではキャッシュ比率を上げる、
またはヘッジ率を高めること以外に打つ手がないのだ。

専門用語で言うと、
デュレーションをゼロに近づけ、
マーケットリスクを最小にするしかないのだ。

また、プロにはさまざまなポジションの規制がある。

通常ポジションは大きいほうが市場へのインパクトもあり、
増減の自由も利くので有利だと言えるが、
大き過ぎると今度は売買の自由に支障をきたすことになる。

特殊なほどの量は、十分な流動性を確保できないからだ。

例えば、2021年3月に発覚した野村證券やクレジットスイスの大損失は、
破綻したアルケゴスという個人ヘッジファンドが売れないほどのポジションを実質的に抱えていたことで起きた。

アルケゴスと大口の取引をしていた6社の業者のうち、
少なくとも2社が大量に売却したために、
売り遅れたあるいは買い支えた野村やクレジットスイスの損失が広がった。

市場には売り手と買い手とが必要なので、
大手の全員が売りに回ることは不可能だ。

今回は、たまたま2社が大損失を出したが、
次回は誰がそうしたババを引くかは分からない。

大手機関投資家がその資産のコアな部分を投資できる市場は限られている。

またそういった市場でさえ、
彼らが一度に売買できる量は限られていると言えるのだ。

一方、ポジション量の大小よりも重要なのが、
ポジションの保有期間だ。

日計り(デイトレーディング)のポジションは、
その日のうちに閉じなければならない。

下手に大きなポジションを張ると
他の市場参加者に利用され踏まされたり(空売りの買戻し)、
投げさせられたりするのだ。

弱点を敵に知られると不利なのは、
どの勝負の世界でも同じだろう。

がんじがらめにポジションを規制されている者と、
まったく自由な者とが勝負すれば、どちらに分があるかは明白だ。

個人や法人の顧客は、ファンドや保険を買ったり、
株式投資や為替の手当など市場を利用したりすることで手数料を市場に落としている。

これはプロの収益のパイとなっている。

正しい知識や情報、ノウハウ、経験が重要なのは言うまでもないので、
個人投資家はゴルフなどとは逆で、
プロに比べてハンディを背負った状態で相場を行っていると言ってもいいかと思う。

とはいえ、相場では買い手に対して常に売り手が向かい合っていて、
その差はビッドアスクという僅差でしかないのだから、
自分の相場観は当たるも八卦、外れるも八卦の五分五分の確率だと謙虚でいるほうがいいだろう。

相場という世界は、負けた者のパイを勝った者で分配していく、
生き残りゲームだ。

したがって相場に臨むには、
不利な条件をひとつずつ潰してから入るべきだと言える。

勝つ確率を1%でも多く、
自分のほうに引き寄せる努力が必要なのだ。

正しい知識や、ノウハウ、経験が不足していて、
負けてから悔しがっても、後の祭りというものなのだ。

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